あきた依存症ネットワーク
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あきた依存症ネットワーク設立の趣旨
昨年、秋田県では健康寿命日本一をめざすスローガンが掲げられました。しかし秋田県民の健康は、自殺率をはじめがんの粗死亡率等、47都道府県中でも下位にあります。
私たちが、これまで健康課題として取り組んできた依存症は、残念なことに自死や事故による早死(早世)という形で現れやすいことを経験しています。見えにくいところでは何が起こっているのでしょうか。依存症からの回復をめざすグループでは、長い間本人や家族が悩み続けてきたことが話題になります。家庭や職場での人間関係が悪化して、一歩間違えば事故や事件につながりかねないところまで追いつめられたことも語られます。また、過去を振り返り、家庭内の依存症の問題にエネルギーを奪われて子育てがおろそかになり、その子が大人になった時の心の健康に悪影響を及ぼしたのは自分たちのせいではないかという後悔にも話が及びます。
実際に、アルコール依存症を例にすると2014年厚生労働科学研究によれば国内にアルコール依存症者は推計109万人おり、アルコール依存症と診断を受け治療している人は4万9千人とわずか5%に過ぎないとする調査結果があります。そもそも依存症とは考えられなかった、どこに相談に行けばよいかわからなかった、アルコール依存症ではないかと病院に行ってもはっきりと診断をくだしてくれなかった、飲まない時にくるように言われてどうしてよいかわからなかった、結局飲み方がおかしいと気がついてから受診するまで平均7年を要していたことが調査結果で報告されています。アルコールに限らず薬物依存症やギャンブル依存症でも意志が弱いからやめられない、好きでやったことだからその人の自己責任であるという誤解や偏見が当人や家族自身にも社会全体にもあります。依存症に対する正しい理解と対応が求められます。
依存症からの回復をめざすグループは、県内では最初に昭和53年に秋田断酒連合会が活動を始め、伝統のあるAAは昭和58年に活動の火を灯しました。その後平成元年にはアディクション問題を考える会の前身が立ち上がりました。薬物依存症からの回復をめざす秋田ダルクは平成14年に、ギャンブル依存症のグループ(GA)も平成19年から活動を始めました。平成20年からは、アルコール依存症の回復施設(秋田マック)が秋田に根差し10年が経過しようとしています。アルコール依存症の家族も教会の協力や断酒会の活動にあわせて努力を重ねてきました。昨年、家族からの回復を進めようと依存症家族の会(コミファ)がNPO法人を獲得し活動を始めました。
この度、私達は、県内で活動している様々な依存症の自助グループや、関連機関とのネットワークを構築し、情報提供やミーティングを通じて依存症で苦しんでいる人が、誰も排除されないことを願っています。私たちの活動が、県民の一人でも多くの人の健康を取り戻すための一助となること、そして、このネットワークを通じて依存症は特別な病気や障害ではなく、回復できる健康課題であることを伝えていきたいと考え、ここに「あきた依存症ネットワーク(仮称)」の設立を提案します。
2018(平成30)年2月17日 佐藤 光幸
『あきた依存症ネットワーク』会則(案)
1.名 称
本会は、『あきた依存症ネットワーク』と称する。
2.目 的
本会は、秋田県内における依存症当事者及び家族、回復施設、自助グループ等の個人・関連団体のそれぞれが地域において役割と機能を果たせることを尊重する。秋田県内における依存症からの回復をめざした情報交換を行い、課題を共有し協力し合い、市民及び医療・保健・福祉・司法等関係機関との連携や協働を進め、依存症の正しい知識の普及と回復に取り組むことを目的とする。
3.活 動
本会は、前述の目的を達成するため、依存症に関する研修会の開催、交流、情報発信、協働、提言等に取り組む。
4.構 成
1】本会は、その目的に賛同する依存症当事者及び家族、回復施設・自助グループ等団体と団体を構成する個人、市民及び医療・保健・福祉・司法等関係者をもって構成する。
2】本会には、次のものを置く。
・代表者
・世話人会
・アドバイザー
3】代表者は、世話人会にて選出し、本人の同意をもって決定する。
4】世話人会は、本会の目的に賛同する個人及び団体から推薦された者で構成し、あきた依存症ネットワークの主導役を務める。
5】任期は2年とし、再任を妨げない。
6】事務局の運営等については、世話人会で決定する。
7】本会には、顧問を置くことができる。
5.入会及び予算
本会の主旨に賛同し入会を希望する団体や個人は、世話人会の承認を受けなければならない。所定の入会金と会費を納めたものを本会会員とする。本会の会計年度は毎年4月1日から3月31日までとする。会費は年額一団体3,000円とする。賛助会員2,000円,個人会員1,000円として、団体との重なりを妨げない。
6.事務局
事務局は、秋田市本道1丁目1-1 秋田大学医学部保健学科看護学専攻内におく。
7.その他
1】本会則に定めるものの他、あきた依存症ネットワークの運営に関する事は、世話人会により定める。
附 則
この会則は、平成30年2月17日から施行する。
あきた依存症ネットワークの構成(案)
あきた依存症ネットワーク役員(案)
役員名
氏 名
所 属
代表者
佐藤 光幸
秋田アディクション問題を考える会
世話人
平原 薫
秋田ダルク
世話人
佐藤 孝
秋田マック
世話人
伊藤 鉄信
秋田県断酒連合会
世話人
永野 幸子
コミファ
世話人
熊澤 由美子
大仙アディクション問題を考える会
アドバイザー
米山 奈奈子 先生
秋田大学大学院医学系研究科
顧問
杉山 和 先生
杉山病院理事長